映画『下妻物語』―これがザ・日本なの?
今日、以前も取り上げたPop Culture in Japanとう授業で映画『下妻物語』("Kamikaze Girls")を鑑賞しました。
2004年の映画なので少し古いですが、あらすじはこんな感じ。
茨城県の下妻市に住む竜ヶ崎桃子は、ロリータ・ファッションをこよなく愛する孤高の高校生である。もう一人の主人公・白百合イチゴは、レディース(暴走族)の一員であり、桃子の父親の作ったベルサーチの偽物を買いに来たことをきっかけに、桃子の家に出入りするようになる。イチゴは、自分が所属する暴走族の総長が引退する時、代官山にいるらしい有名な伝説の刺繍家に「ありがとう」と入れてもらった特攻服を着たいと願い、資金を稼ぐために桃子を引き連れパチンコ屋に繰り出す。桃子は初めてのパチンコであったが、偶然連チャンし、易々と自分の服代とイチゴの刺繍のための資金を稼ぎ出す。イチゴは代官山に詳しい桃子を伴い伝説の刺繍家を探しに行くが、その刺繍家を見つけることはできず、イチゴは深く落ち込む。見かねた桃子は自分が刺繍を請け負う。不眠不休で刺繍をし、見事な刺繍入りの特攻服が仕上がった。その素晴らしさを見て、イチゴは感動を覚え、素直に感謝をする。その言葉を聞いて桃子は今までに感じたことのない不思議な感覚を覚え、これをきっかけに、二人の間に友情が芽生え始める。
私はこの映画を知らなかったのですが、先生曰く「日本をよく表している」映画とのことです。
一体どんな映画だろう。
何となく少し怖いような、でも映画はいつも新しい世界を見せてくれるのでワクワクして鑑賞し始めました。
感想としては。
映画として、純粋に一人一人に背景があり、コメディで笑える要素が盛りだくさんなのに心にじんわりくる温かさもあり、とても面白かったです。
ただ。
この映画に描かれている内容が「日本」を表していると外国人に思ってほしくない、と強く思いました。
登場人物が個性的すぎるのです。
ロリータファッションをこよなく愛し、孤独を好む桃子
暴走族に属し、荒っぽい言動を繰り返すイチゴ
元下っ端ヤクザでダメ親父
顔の長さの倍以上のリーゼントを振りかざす龍二
この映画に出てくる全ての登場人物の個性がとにかく強烈!
コメディ映画としては大変面白いですが、日本人として観ていてハラハラしてしまいました。
これは「普通」の日本じゃない
日本をこの映画で判断しないでほしい
そんな感情が、映画のストーリーに引き込まれていく中で渦巻いていたのです。
そして同時に思ったこと。
「普通の日本」ってなんだ?
ロリータを好む人はたくさんいるし、暴走族の方もいます。
彼らは、日本社会において多数派ではないかもしれませんが確実に存在しています。
じゃあ多数派はどんな人でしょうか?
主人公の年齢である高校生を考えると、きっときちんと毎日制服を着て、部活にも所属し、休日は友達と遊びに出かけたり、テスト前は勉強に苦しんだり。
でも、それって「普通」なんでしょうか?
きっとこの映画は、日本の「普通」概念に疑問をぶつけているのだと思います。
彼らのような人は存在するかもしれないし、しないかもしれません。
でも、皆がどこか感じている日本の「普通」であったり同質的な価値観に対するモヤモヤをこの登場人物たちが体現してくれている気がするのです。
やっぱり、この映画が日本だと思ってほしくはないけど(笑)、日本社会って海外みたらどこか歪んでいるのかも、そう思うきっかけとなりました。
海外にいる方が日本のことをたくさん考えます。不思議。でも楽しい。